最近知ったこと2 マドンナの語源
これはつい最近というより、確か5月あたりに知ったことなんだけど、自分としては大切なことなので載せておく。
坊っちゃん団子とマドンナ団子
- 先日入ったお店で「坊っちゃん団子」というお菓子をいただいた。坊っちゃん団子とは、夏目漱石の小説「坊っちゃん」の主人公が作中で食べているお団子をモデルにしたお菓子のことである。
- このお菓子は、やわらかい餅をそれぞれ抹茶・黄身・小豆餡で包んで小さい串に刺したもので、普通のお団子よりもずっと小さいのだが、そのたたずまいがまた愛らしく、四国地方のお土産としても人気があるそうだ。
- 私は女性だからなのか、坊っちゃん団子ではなく「マドンナ団子」を出されたが、お団子を出してくれた店主さんとは知り合いだし、何より「マドンナ」という言葉の響きが好きなので、食べることができてとても嬉しかった。私は女性へのレトロな賛辞が好きである。*1
- マドンナ団子はいちご・ミルク・カフェオレの餡で包んだお餅を串に刺したもので、坊っちゃん団子と同じくやはり手のひらに乗るサイズのお菓子である。色がピンクで可愛いので、出来れば下記のリンク先を見てほしい。
- 坊っちゃんを読んだのは小学生の頃なので内容がうろ覚えだけど、確か坊っちゃんのヒロインである「マドンナ」さんはハイカラ頭(西洋風の髪型ってことかな?)の美人だそうで、お団子の味付けが洋風で愛らしいのもうなずける。
マドンナってそもそもどういう意味?
- だが、帰り道にふと思った。そもそもマドンナってどういう意味の単語なんだろう? 憧れの女性という意味はわかるし、今ではあまり使われない、古い言い回しだというのもわかるが、だとすると一体いつからある言葉なのだろう。
- マリア様のこともマドンナと呼ぶし、そこから転じて、憧れの女性のことをマドンナと呼ぶようになったのだろうか?
- というわけで、気になるから調べてみたよ。
マドンナの語源
- 調べてみると、 マドンナというのは元はイタリア語らしく、本来はma donnaと書くそうだ。意味は「わが淑女」や「わが貴婦人」で、短縮形はmona。*2
- 中世では高貴な女性への尊称だったが、16世紀以降のイタリアでは絵画や彫刻に聖母マリアが描かれることが多くなり、次第に聖母マリア自体をマドンナと呼ぶようになったそうだ。
- ここで私は思った、逆だったのかと。てっきり聖母マリア様から転じて、憧れの女性をマドンナと呼ぶのだと思っていたが、どうやら目上の女性(憧れの女性もここに含むだろう)→マリア様→憧れの女性というのが正しいようだ。
- つまり、かなりざっくりした物言いをすると、神→人ではなく、人→神→人だったのである。どれも女性に敬意を込めて、仰ぎ見ていることに変わりはないけどね。
「わが」貴婦人、「私の」淑女よ
- ここまで調べて思ったのだが、どうも私には「わが」貴婦人、「わが」淑女という言い回しが気になるのである。
- というのも、高貴な女性に敬意を込めるのならば「わが(私の)」は要らず、普通に「貴婦人エリザベスよ」でいいような気がするのである(エリザベスはとりあえずの例文です)。わざわざ「わが貴婦人エリザベスよ」でなくとも良いのではないか。相手が最初から貴族の女性とかならなおさらである。
- 多分これは「わたしの猊下」とか「イエス、マイ・ロード」と同じで、わざわざ「私の」を付けることによって、私は貴方に敬意を持ってますよという意思表示をしているのだろうが、私は思う。いや絶対それだけじゃないだろうと。
- これは完全に私の想像だが、多分この「わが淑女よ」という意味でのマドンナという言い回しは、高貴な生まれでない女性にも使われた可能性があるのではないか。だからこそ、身分問わずに憧れの美しい女性にマドンナと言うようになったのではないか。
- 私は思う。19世紀に、平民出の舞台女優や高級娼婦に対して「わが貴婦人」とか言ってラブレター送った人、絶対いるって。
恋愛においてのマドンナ
- つまり、相手の身分がどうあれ、自分が淑女だと思ったならその女性は淑女なわけで、恋愛や憧れというのはこれでいいような気もする。相手がどんな身分でも、美しいと思ったのなら美しいのだし、気位や気品というのは、家柄がどんなに良くても一朝一夕で身につくものではないのだから。
- だからまわりがどんなに貴女を蔑もうとも、貴女がどんなに醜い姿になったとしても、貴女は私にとっての貴婦人です、だって貴女の美しさは外見だけではないのですからと、言ってくれる人がいたらいいね。
- 私はこの世の全ての女性が、誰かにとってのマドンナであったらいいのにと思うよ。誰かから敬意を払われて、考え方を大切にしてもらえる、それってどんなにいいことだろうと思うんだ。もちろん、自分で自分のことをマドンナとして扱うのも大切だと思うよ。
ポップカルチャーでのマドンナ
- 私がマドンナと聞いて思い出すのは、ビートルズの「レディ・マドンナ」で、カラオケでもよく歌う。この曲はレディ・マドンナという女性について歌ったもので、ポールによると、最初は聖母マリアについての歌だったが、書いているうちにリバプールで働く労働者階級の女性に捧げる歌に変わったんだそうだ。
- ポールは他にも「レット・イット・ビー」の歌詞で「僕の元に聖母マリア様がやってきて……」と書いているが、これは聖母マリアでもあり、ポールの亡き母であるメアリーさんのことでもあるそうだ。
- マドンナと言えば、歌手のマドンナも忘れてはいけない。私はとりわけ「ライク・ア・ヴァージン」が好きで、これもカラオケで歌う。
- マドンナの「マドンナ」という名前は本名で、若いころ「私はこの世界で神よりも有名になる」と決意し、ヌードモデルもしてセクシーなイメージで売り出して、この曲のコンサートではウエディングドレスで腰を振って踊りさんざん批判もされたが、今では慈善活動もしている、そんなところに「わが貴婦人」らしさを私は感じる。
Madonna - Like A Virgin (Official Music Video)
- 日本でのマドンナは寅さん映画のヒロインが有名で、先日十作目のマドンナである八千草薫さんがお亡くなりになったけれど、何を隠そう、私は昔の美しい女優さんが大好きなので、八千草さんがお亡くなりになったことが残念でなりません。ここにご冥福をお祈りします。
- さいごに改めて書くけど、美しいと自分が思ったならば、どんな女性もマドンナなんです。平民でも老いても傷ついても、心が折れてしまっても、聖母でなくたって、マドンナはマドンナなんですよ。
(2019-10-31 記録)
最近知ったこと1 パンデモニウムの語源
たいした話題ではないのだけど、定期的に私が「つい最近知って面白かったこと」を載せてみようと思う。まあ暇つぶしの読み物にはなるかも知れない。
パンデモニウムについて
- パンデモニウムというのは、地獄にある悪魔が住む都市のことで、サタンが作ったとされるが、実はこの単語は造語なんだそうだ。聖書に直接出てくる単語ではないらしい。
- 元々はジョン・ミルトンの「失楽園」に出てきた言葉で、意味は「すべての悪魔」。失楽園が書かれたのは1667年なので、正確なところは判らないが、今から450年ちょっと前に考え出された単語だと思われる。
語源はパンテオン
- パンデモニウムの語源は、ギリシャ語のパンテオン(Pantheon)という言葉で、こちらは「すべての神々」という意味。文字通り特定の宗教のすべての神々のことを指すが、転じて、すべての神々がおわす神殿のこともパンテオンと呼ぶ。
- このパンテオンをもじったのがパンデモニウムで、Pan=すべて、theo=神のところを、demon=悪魔に置き換えたのがパンデモニウム(Pandemonium)である。
伏魔殿という和訳
- パンデモニウムは、日本語だと伏魔殿(ふくまでん)もしくは万魔殿(ばんまでん)と訳されるが、これは中国の伝奇小説「水滸伝」が元ネタで、魔王を封印した建物を作中で伏魔殿と呼んでいる。
- ミルトンの「失楽園」を、日本で一番最初に誰が和訳したのかは不明だが、和訳した人はこの水滸伝のくだりを知ったうえで書いたのだと思われる。
創作上でのパンデモニウム
- 私が初めてパンデモニウムという単語を知ったのは、ゲーム「ファイナルファンタジー」で、2と8に*1この単語が出てくる。
- 2では地上に現れた地獄の宮殿の名前がパンデモニウムで、まるでアメジストの内部のような、薄紫の結晶でできた美しい城だった。一見無機質そうなその城も、壁は丸くボコボコと生物的で、どことなく蜂の巣や内臓の中を思わせるデザインがまた最高だった。私はこのパンデモニウム城がとりわけ好きである。
- この城の何が最高かって、明らかにこの世のものではないと一目でプレイヤーに理解させるデザインをしているところである。中世ヨーロッパ風の2の世界観にいきなりこんなのが現れるのだから、一目で「これはヤバイ」と理解できる。標識やポスターと同じで、一発で理解できるデザインでなおかつ美しいというのは素晴らしいことである。
- 8では風の召喚獣*2として登場するのだが、薄紫の外見や丸くボコボコした顔の部分など、どう見ても2のパンデモニウムをモデルにした外見になっている。こちらもなかなか禍々しくて好きだったが、なんでまた召喚獣になったんだろう。8は最近リマスター版が出たというし、こちらでも活躍しているのだろうか。
(2019-09-04 記録)
フィールドワーク1 元赤線街N
- 私の趣味のひとつはフィールドワークで、つまり街歩きをしながら現地の歴史や風土を調べるって事なんだけど、つい最近になって、私がよく買い物してた街が実は昔は赤線街*1だったことを知りました。
- つまり、昔はここにカフェーや遊郭*2があったという話です。
※以下そんな話題だよ※
※苦手な人ごめんね※
- 調べてみると、1950年代にはこの街にまだ遊郭があったそうで、遊郭だけではなく置屋(妓楼たちの住む家)や、妓楼が通う今でいう美容室のようなお店*3もたくさんあったらしい。
- 70年代にはさすがにもうそんなお店は少なくなっていたけど、裏通りに立つ街娼の女性はたくさん居たそうだ。
- 現代人の女性である私が「こういう場所面白いね」と暢気にしていられるのも、モラルの向上や法律があるからなのは理解してるんだけど、それでも私は、元遊郭街と聞くとときめきを覚えずにはいられない。
- というのも、元遊郭街は私の好きなお店が多く、好みの街並みである可能性が高いのである。このNという街もそうだった。
- これはあくまでも私調べなので、必ずしも当てはまらない場所もきっとあると思うのだが、元遊郭街は女性が好みそうな店が多い気がする。女性がたくさんいる場所なのだから、当たり前と言えば当たり前かも知れないけど。
- つまり菓子屋や花屋が多く、目当ての妓楼に贈るため、もしくはお花やお茶のお稽古のためにこういうお店が発展したのかも。
- 古い老舗のお店はもちろん、昭和の頃カフェーやスナックだったお店が居抜き物件になり、リノベーションされて今ではお洒落なカフェや花屋になっている、という場合もある。
- 転業旅館がいくつか見られる場合もある。転業旅館というのは、元々遊郭だったお店が旅館に転業したもので、建物は今のホテルに比べて小さいが、内装が凝っているお店が多い。
- 入口に窓口のようなのぞき窓があり、その窓が花鳥風月など、お洒落な意匠を施されていたならば、それは客が遊女を選ぶための窓であった可能性が高い。
- 他にも、昔は遊郭だったが今では料亭や割烹を営んでいる店もある。これらもやはり建物が凝っている。
- これらはあくまで一例なので、すべての元赤線街がこうってわけじゃないし、すべての旅館や料亭・割烹が元遊郭だったわけじゃないから、誤解したらダメなんだけど、街の歴史を調べるのは本当に面白い。
- このNという街は大半が住宅街に変わってしまって、上に挙げたような店は少ないのだけど、とても風情のある街。街中には小川が流れ、川岸には柳が揺れている。川には小さな赤い橋もかかっていて、かつての妓楼たちもここを歩いていたのだろうか。
- 写真はNの隣町(といっても二丁目と三丁目ぐらいの違いしかないので、実質同じ町)の古道具屋で買った小物類。Nにある小川を遡っていくとこの店がある。この古道具屋もかなり古い。
- 買ったのは塗料のはげた目玉クリップと、多分昭和初期のものと思われるガラスボタンと、ヴィンテージの指輪。他にも古書を数冊買った。
- 家に帰ってから知ったのだが、元遊郭街はうなぎ屋も多いらしい。つまり精力をつけるためなんだけど、そういえばNにもうなぎ屋をいくつか見つけた。昼食ここにすればよかった。
(2019-08-31 記録)
へーべ
へーべ(Hebe)
オオバコ科 常緑低木 高さ20~120cm程度
房状の美しい花をつける
和名 トラノオノキ
名前の由来
- 名前の由来はギリシャ神話の女神「へーべー」から。若さや美しさ、青春を司る女神。
- 小惑星の名前にもなっている。火星と木星の間の小惑星帯に位置する。
- 和名の「トラノオノキ」の由来は、花が房状で虎の尾に似ているかららしい。「トラノオ」という植物もあるが、こちらは名前が似ているだけで別の科の植物。*1
生育環境
- 暑さ寒さに特別強いわけではなく、直射日光や湿気も苦手。この特性はニュージーランド原産だかららしい。*2
- なので高温多湿な日本の気候だと育てづらいとされているが、なぜか私の家ではメチャクチャ元気である。私の家、ニュージーランド疑惑。
- どうやら、私の家における「乾燥しやすく風の多い立地」が功を奏しているようで、これなら直射日光さえ当てなければへーべに適した環境になる。なるべく原産地の気候に寄せた環境にすればうまく育つようだ。
- 生育環境さえクリアしてしまえば、病害虫もあまり寄り付かないので一気に育てやすくなる。私が購入したのは一ヶ月以上前だが、いまだに病害虫はついていない。
品種について
- 花は小さい花がたくさん集まった房状で、紫や白、ピンクなどがある。私が購入したものは紫。
- 品種も数多くあり「グリーンフラッシュ」は白い花、「ハートブレイカー」は葉がピンクがかった斑入りになっている。ハートブレイカーは他の品種に比べて、日本の高温多湿な気候にもやや耐性があるようだ。
- 私が購入したものは鉢に特に何も書かかれていなかったので、ごく普通のへーべだと思われる。
葉の形について
- 個人的には、花が美しいのはもちろんだけど、葉の独特さにも注目したい。
- 葉は斑入りでつやつやしており、新芽の部分は二つの葉がぴったりとくっついて、その部分が割れるとまた新しい葉が出てくる。大豆を割ったらまた大豆が出てきた、というイメージ。
- こんな植物は今まで一度も見たことがないので、ずっと眺めていても飽きない。紫の花と、斑入りの葉の緑と白のコントラストも美しい。
この植物を購入した理由
- 私がなぜこの花を買ったかというと、大好きなゲーム「デメント」に登場するから。こちらでは「へーべの香水」というアイテムとして登場する。*3
- ただしほとんど香りのない香水のようで、実際に私の購入したへーべもほぼ無臭だった。何となく植物らしい匂いがするかな?程度。
- このゲームでは錬金術や魔術が登場するので、へーべを改良してマンドラゴラを造るという記述がある。確かにこのような姿の植物なら、葉の根元に人の姿が埋まっていてもおかしくはないだろう。
(2019-07-09 記録)
- ジャンル: ソフト
- ショップ: ブックオフオンライン楽天市場店
- 価格: 1,077円